人民元の為替レートはどうなるか

新興市場は、月末や期末要因などによる手掛けづらさを背景に、様子見ムードの強い展開となりそうだ。ドイツ議会が欧州金融安定基金(EFSE)の拡充案を可決したことは欧州債務問題の進展に向けた支援材料となるが、昨日時点でもかなり織り込まれていた印象がある。個別では、直近で売り込まれていたネット関連などを中心とした主力株の動向に注目。昨日はマザーズ、ジャスダックともに時価総額上位の主力株に売られ過ぎ感から自律反発狙いの動きが見られており、本日も見直しの動きが継続する可能性がありそうだ。為替相場(FX)ではユーロ売りが一段と強まるであろう。

人民元は外貨準備通貨に組み入れられている

今後6ヵ月以内に中国の人民元は英ポンドを抜き、米ドル、ユーロに次ぐ第3の決済通貨になる。

 

5月4日、英大手金融グループHSBCが、世界21の市場で6000社以上の企業を調査した衝撃的な結果が明らかになった。それによると、半年以内に人民元を決済に使用する計画がある企業は東南アジアでは16%で、うち3%はポンドよりも多く使用する計画だ。中東ではそれぞれ13%と10%であるという。

 

また、米ブルームパークが5月19日発表した、投資家・トレイダー・アナリスト1263人へのアンケート結果では、全体の57%が人民元は5年以内に外貨と自由に兌換可能になると予測。さらに、19%は5年以内、31%が10年以内に、人民元が各国の外貨準備に組み入れられる準備通貨になるとしている。つまり、全体の50%は2022年までに人民元が準備通貨になると予測している。

 

日本では、人民元が国際貿易や対外投資の決済通貨となり、さらには準備通貨、国際通貨になることは当分ない、という見通しが有力である。しかし、人民元の国際通貨化への動きは、08年の世界金融危機、そして09年からの欧州債務危機を契機に顕著となっている。中国が昨年10月に制定した今年から15年までの第12次5ヵ年計画では、人民元の国外使用拡大と資本取引の逐次的自由化とが目標に掲げられ、今年1月には対外直接投資の人民元決済の試行を管理する法律を制定している。

 

人民元の国際化を予測しているのは中国だけではない。すでに09年、マレーシア中央銀行が人民元を外貨準備に組み入れ、ノルウェーの公的年金基金が人民元建て資産への投資を開始している。今年1月には、ロシア中央銀のウリュカエ副総裁が、中国が資本自由化すれば人民元を外貨準備に組み入れると述べている。

 

中国金融

 

3月31日に中国・南京で開催された国際通貨システム改革に関するハイレベルーセミナーには、王岐山・中国副総理やガイトナー米財務長官など、日本を除ぐ主要国の財政・金融責任者に加えて、ストロスカーン国際通貨基金(IMF)専務理事(5月18日辞任)やアンヘル・クリア経済協力開発機構(OECD)事務総長などの主要な国際機関の責任者が集まり、人民元をIMFの特別引き出し権(SDR)に組み入れることで、人民元の国際化を進めることが議論された。

 

さらに4月8日、夏斌・中国人民銀行政策委員兼国務院発展研究センター金融研究所長は、人民元の国際貿易・投資の決済拠点を中国全土に広げると述べた。そして、香港などのオフショア(海外の租税優遇地)市場に人民元債券を上場することで投資家を人民元に引き寄せ、10年後には人民元が各国の外貨準備および投資家によって保有され、ドルとユーロに次ぐ準備通貨になり得る、という予測を示した。

 

中国共産党機関紙『人民日報』英語ウェブ版は4月19日、呉作棟(ゴー・チョクートン)シンガポール上級相・元首相の談として、中国がシンガポールに人民元決済銀行を設立すると報道。同日には、中国国家外貨管理局の国際収支部門の責任者である管濤氏が、人民元建て貿易決済拡大を述べた論文を発表している。

 

こうした一連の動きはすべて、年に周小川・中国人民銀行総裁名義で発表された国際通貨システム改革に関する論文で描かれた構想に沿っている。つまり、人民元の国際化は中国の緻密な戦略に基づいて進められていると考えられる。

中国式の「半開放」

中国が人民元の国際化を急ぐのには合理的な理由がある。中国の外貨準備と対外資産の多くはドル建てであり、その中心は米国債である。したがって、米国債とドルの減価によって巨額の損失を被るリスクをヘッジするために、貿易と対外投資の決済通貨を多様化するのと並行して、人民元決済を進めているのだ。

 

しかし、中国が進めている人民元の国際化は、あくまで「中国式」の国際化である。完全な変動為替相場制も資本取引の完全な自由化も認めない、「半開放」にすぎない。なぜなら中国は、@日本が1985年のプラザ合意後に進んだ急激な円高によるバブルの形成と崩壊によって経済が衰退したこと、A97〜98年のアジア通貨危機で東南アジアおよび韓国では投機的資金(ホットマネー)の流人と流出、さらに国内資本の対外流出(キャピタルフライト)が起こり経済が混乱したこと、を教訓としているからである。日本だけでなく米国、英国、フランス、ドイツ、ロシアなどから半植民地化された屈辱の歴史を中国が忘れない限り、人民元の完全な国際化はあび得ないだろう。

 

IMFの予測では、中国の購買力平価建て国内総生産(GDP)は16年に米国を抜くが、名目為替レート換算では米国の60%でしかない。名目為替レート換算で世界最大の経済大国となって初めて、中国は人民元の真の国際化を検討するだろう。

ロンドンでも取引

しかし、3月31日の南京でのセミナーで、ガイ小ナー米財務長官が指摘したように、そもそも取引が完全に自由化されない通貨が国際通貨になり得るだろうか。当然、中国は外国に人民元を決済に使用させるため、何らかのインセンティブを与えるはずである。

 

例えば5月6日、世界最大の外国為替市場であるロンドン市場の政策の総合調整を行っ政策・資源委員会のスチュアートーフレイザー・議長は、「香港は最初の人民元オフショアーセンターとなるが、中期的にはロンドンが人民元に国際化する機会を提供できる」と述べている。

 

第2次世界大戦の事実上の。敗戦国'であった英国は、ロンドンーシティーの金融機能を米ドルの国際通貨化に提供することで生き残った。今度は、世界金融危機で大打撃を受けた英国経済を蔡つために、人民元に対して本格的な国際化の舞台を提供しようということなのだろう。

 

また、上海証券取引所で近く開設される予定の国際板(外国企業向け証券市場)では、外国の優良企業が人民元建ての株式と社債を上場できるだけでなく、外国の優良企業に投資する上場投資信託(ETF)が人民元建てで上場される。中国やその周辺でビジネスを展開する外国企業にとって、格好の人民元調達手段になるだろう。その時、外国企業が人民元をプールする受け皿は、HSBCなどのグローバル金融機関が自己責任で設けるだろう。とはいえ、このよすな整備を進めたとしても、企業が急な資金繰りで大量の人民元をドルなどに交換する必要に迫られたり、国際的なM&A(合併・買収)などで巨額の人民元建て資金を調達しようとした場合に、速やかに両替できるとは限らない。したがって、完全な自由化が実現するまでは、人民元はドル、ユーロに次ぐ第3の通貨の地位に甘んじるしかないだろうし、それは中国が望むことでもある。

 

半開放される人民元を保有し、利用することの最大のメリットは、中国の経済成長からの利益を直接に得られることである。従って、中国は人民元の国際化のために経済成長を持続しなければならない。中国は既に高齢化が顕著であり、30年までには人口の伸びが天井を打って減少に転じると予測されている。現在は大規模な都市建設で高度成長を長期的に持続しているが、その結果として都市化が進み、少壬局齢化は一段と加速している。

 

このような懸念があってもなお、人民元はドル、ユーロ、ポンド、そして円が国際通貨としての地位を低下させていくのと入れ替わりに、着実にその地位を向上させていくだろう。事実、イランでは既に、円の両替は断られるが、人民元は無条件に両替できる時代になっているのだ。

 

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